Contents
自社株買いとは?
自社株買いは企業がすでに発行されている自社の株式を買い戻すことです。配当と並ぶ株主還元策の1つ。
米国ではリーマンショック以降に盛んに行われるようになりました。
「確実な有望投資先が見つからない」であるなら自社に投資しようと経営者は考えたわけです。
自社株買いで株価は上がる?下がる?
なぜなら、株式指標が向上するからです。例えば、1株当たり利益(EPS)。
1株当たり利益は以下のように計算されます。
自社株買いによって株式数が減少すると母数が減少するため1株当たり利益(EPS)は上昇します。
具体的にみると、下↓のような感じ。
利益が同水準であれば、自社株買いによって発行済株式数が減少するのでEPSが上昇するのです。
株主資本利益率(ROE)も上昇します。ROEは経営効率をはかる株式指標です。
こちらも、自社株買いによって株主資本が減少しますのでROEが上昇します。
自社株買いは経営者からの割安のメッセージ?
さらに、自社株買いは経営者が株価を割安であると市場に伝えるアナウンスメント効果があると言われています。
ほかに割安な有望な投資先があれば利益を伸ばせるにも関わらず、自社に投資するからです。
経営者は他の企業の株より自社の株を買ったほうが良い!と考えて投資してるわけです。
また、株式市場で買い付けを行えば、直接的に株式の需給状態を引き締めることによって株価に上昇圧力を加えることができます。
自社株買いと言えばビザ(V)
自社株買いで株主還元策を行なっている企業と言えば、ビザ(V)です。
Vの株主還元は自社株買いを中心に行っており(右下グラフ)、株式総数は急速に減少しています(右上グラフ)。
事業の好調に加え、自社株買いの効果もあり、1株当り利益(EPS)は右肩上がり。
ただ、自社株買いが必ずしも投資家のメリットにならないことも・・・
最強説がでそうなほど素晴らしい自社株買いですが、自社株買いが必ずしも投資家のメリットに繋がらなかったこともあります。
例えばGEです。
GEは2015年4月10日に500億ドル(発行済み株式に対する比率19%)の自社株買いを発表します。
けれど、GEの株価は上がりませんでした。
2016年は耐えたものの、2017年以後は株価は真っ逆さまです。
結局は株価は市場の次第ですので、評価されなければ株主の利益にはならないのです。
さらに、資金不足の懸念も表面化し、事業売却を相次いで発表することになります。
当時、GEが当時30ドルで買い付けた自社株の現在の価値は1/3以下。
自社株買いと言えど必ずしも株主のメリットにならないこと覚えておくことをオススメします。
ミスターマーケットのノイズでした。