どうも、ミスターマーケット(@mrmarket_japan)です。
先日、米国株を代表する優良株と呼ばれているゼレラルエレクトロニック(以下、GE)株とプロクター・アンド・ギャンブ(以下、PG)株をリーマンショック前にバイアンドホールドしたらどうなったか、という記事を公開しました。ミスターマーケットがリーマンショック前に2社に投資して10年近く保有していた投資歴があったため、少しでも現在の高値で購入を迷っている人のヒントになるかなと思い記事にしました(GEの記事・PGの記事)。
で、記事にしたあと、2社の業績について触れていないことに気づきました。株価だけみるなんて、まさに、バフェットが語った「ミスターマーケット」らしいことだと少し反省しました。今回は2社の業績について比較することで景気敏感株と景気鈍感株の違いをみていきたいと思います。
Contents
GEとPGの業績推移を比べてみる
まず、GEとPGを比べるデータの確認をします。
ゼレラルエレクトロニックGEは2007年12月期から10年の業績推移です。
プロクター・アンド・ギャンブPGは2008年6月期から10年の業績です。
今回はリーマンショック後の話題ですので、注目して欲しいのはグラフの前半です。グラフの後半は別の問題をかかえています。例えば、最近のGEは絶不調です。一度再構築できたかと思われたビジネスが再び不調になっています。PGも近年の売上減少が課題になっています。ブランド整理をはじめとするコスト削減を行っているためですが、コストだけでなく新しい成長をどのように手に入れるかが問題です。
では、いってみましょう!
売上と利益の比較
<GEの売上と利益>

リーマンショックが直撃した2009年12月期は以下のとおり。
- 売上が155,278万ドル(前年181,581万ドル/▲14%)
- 純利益11,025万ドル(前年17,410万ドル/▲36%)
- 営業キャッシュフロー24,593万ドル(前年48,601万ドル/▲49%)
大打撃を被っています。まさに「リーマンショックが直撃した決算」です。そして売上は2010年12月期149,567万ドル・2011年12月期146,542万ドル・2012年12月期146,684万ドル・2011年12月期113,245万ドルと低迷が続きます。
ちなみに、GEは金融事業も主力(高い信用力で低い社債を発行して、資金を調達して、消費者ローンも行っていた)でしたので、金融市場が崩壊しかけたときには資金繰りにも窮しています。
<PGの売上と利益>

リーマンショックが直撃した2009年12月期は以下のとおり。
- 売上が76,694万ドル(前年81,748万ドル/▲6%)
- 純利益13,436万ドル(前年12,075万ドル/11%)
- 営業キャッシュフロー14,919万ドル(前年15,814万ドル/▲5%)
売上・営業キャッシュフローは若干の影響を受けていますが、翌年には売上・純利益・営業キャッシュフローとも回復しています。GEと比べると天と地の差があります。景気鈍感株は景気変動に強いということがはっきりとわかります。
利益の質を比較
グラフにある営業キャッシュフローマージンとは売上のなかでどれくらい現金が残ったかを表します。簡単に言えば、「高ければ高いほど利益の質が良い」と言えます。
<GEの売上とキャッシュフロー>

さすが、景気敏感株といえど、米国を代表する優良株です。リーマンショックが直撃した2009年12月期でも売上減少から営業キャッシュフローは小さくなっていますが、それでも、高い営業キャッシュフローマージンを誇っています。
また、GEはリーマンショック後に柱であった金融事業の縮小を行うのですが、事業再編時にも高い利益率を保っているのは感心します。もちろん、労働市場の高い流動性など米国が事業再編に強い社会であることも背景にあると思います。
<PGの売上とキャッシュフロー>

営業キャッシュフロー、営業キャッシュフローマージンともに安定しています。というか、グラフをみるだけであれば、リーマンショックがどこで起きたのかわかりません。どちらかというと近年の売上減少が目につきます(がんばれPG!)。
1株あたり利益等と株主還元で比較
<GEの1株あたり利益等と株主還元>

1株あたりでみると、景気の影響を受けやすいことがより明確になります。
1株あたり利益(赤棒)がリーマンショックによって大きく減少していることがわかります。さらに、1株配当(黄棒)が表しているとおり、2009年12月期に大きい減配を余儀なくされたことが、残念でなりません。
また、株式総数(緑線)が表しているとおり、リーマンショックを乗り越えるために行った増資が強い悪影響を及ぼしています。
それにしても、リーマンショック後の利益・キャッシュフローの減少を乗り越えて、一時期は安定成長に入ったと感じました。しかし、2005年12月期以降に崩れたのは残念です。
<PGの1株あたり利益等と株主還元>

1株あたり利益やキャッシュフローはどんどん伸びているわけではないのが、PGの悩ましいところですが、それでも安定的に稼いでいることがわかります。なかなか伸びない利益を自社株買いによって補っているというのが見えます。
景気敏感株と景気鈍感株についてまとめ
今回はGEとPGを比べることで景気敏感株と景気鈍感株の違いについて確認しました。みなさんはどう思いましたか?
GEとPGはどちらとも優良株ながらバラ色ではない点で一致しています。しかし、継続的に利益を稼ぎ続けているという点ではあきらかにPGに軍配があがったように感じます。そして、低迷していても潰れないという安心感があります。
ミスターマーケットは主に長期投資を行っています。長期投資は業績の上下(株価の上下)で利益を得るのではなく、企業の利益からあがってくる果実(配当と成長に伴う株価の上昇)で利益を得る手法です。
今後も長期投資の観点からは景気鈍感株に投資したほうが良いと思いました。
ミスターマーケットの本日のノイズでした。
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こちらはリーマンショック前にPGをバイアンドホールドした結果です。
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