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2018年の株式市場のキーワードの1つは中央銀行の金融引き締め(金利上昇)
2018年の株式市場のキーワードの1つは中央銀行の金融引き締めです。
なぜなら、2017年は世界同時好景気によって株価が押し上げられ、それを受けて、2018年は世界中の中央銀行が金融緩和政策の出口戦略を試みているからです。
米国連邦準備制度理事会(FRB)はすでに量的金融緩和政策を終え、2017年は3回もの政策金利の引き上げを行いましたし、2018年と2019年もそれぞれ継続して利上げが実施される見通しです。欧州でもスウェーデンが資産買い入れを停止し、欧州中央銀行も資産買入の縮小停止を模索しています。
そんな見通しのなかで世界の金融市場では金利上昇がすでにはじまっています。下↓は米国国債のチャード図ですが、はっきりと金利上昇傾向にあることが確認できます。
さて、このような金利上昇が投資にとってどのような影響を与えるのでしょうか。以降でまとめてみます。
金利上昇は経済にどのような影響がある?
金利上昇が及ぼす影響は以下の2つにわけることができます。
- 実際の経済への影響
- 金融市場への影響
それぞれを説明します。
金利上昇の実際の経済への影響
まずは金利上昇の実際の経済への影響からみてみましょう。
金利が上昇すると、経済活動が低下します。
なぜなら、金利が上昇すると、金融機関は高い金利で資金調達をしなけばならず、企業や個人への貸し出しも金利を引き上げることになります。そして、企業や個人から見ると、金利負担が増えるため、資金を借り難くなるわけですから、経済活動が低下することになります。
一般的に企業は資金を調達して活動を行っているため、金利上昇は資金コストの増加になります。借入の多い企業は金利上昇だけで直接的に利益を圧迫されることになります。
また、安い金利を前提に組み立てられている事業などは、金利が上昇すると採算が合わなくなります。大きな資金調達が必要な事業は縮小・撤退が行われ、経済活動に悪影響を及ぼすのです。
影響はさらに広く、借入によってレバレッジを効かせている金融商品などのコストも上昇することになります。
ミスターマーケットのポートフォリオのなかではJ-REITが当てはまり、金利が上昇すると、支払利息が増加するため、利益(そして、分配金)が減少する要因になります。
もちろん、個人の経済活動も抑制されます。住宅ローンがわかりやすいですが、高い金利では毎月の支払金額が上昇してしまうため、住宅予算(借入金額)を抑制や購入自体をやめるチカラが発生することになります。
金利が上昇すると実際の経済へは冷水を浴びせるカタチになるのです。もちろん、実際の経済が低迷すれば、企業の収益は低迷し、株式市場へも間接的に低迷要因を与えるようになります。
金利上昇の金融市場への影響
つぎに金利上昇が金融市場に与える影響です。
ミスターマーケットが考える金利上昇の金融市場への影響は大きく3つにわけられます。
- 債券への影響
- 債券以外の金融商品への影響
- 為替への影響
それぞれを説明します。
金利上昇が債券へ与える影響
金利変化でまずダイレクトに影響があるのは債券価格です。金利上昇で既存の債券価格は下落します。
これは新たに債券を購入しようとした場合に、金利が上昇した後の債券を購入したほうが有利になるためです。逆にいえば、金利が上昇する前の債券は価格を安くしなければ、売れなくなるのです。
一方で、債券利回りは上昇しますので、これから債券に投資する場合は有利に働きます。
参考リンク→【債券の価格】なぜ債券は金利が下がると価格が上がるのか?
金利上昇が債券以外の金融商品に与える影響
金利上昇すると、債券以外の金融商品にも悪影響が発生します。
理由は、債券の金利が上昇すると、債券と競合している株式などの金融商品の魅力が相対的に薄れるためです。
ということになるのです。特に株式のなかでも公益株や生活必需品株は利回りを目的で購入している投資家が多いため、影響はより強くなります。
金利上昇が通貨に与える影響
金利が上昇すると、短期的には当該通貨の価値が強くなる傾向があります。高い金利利回りを求めて、投資マネーの流入が発生するからです。
例えば、米国の金利が上昇すると円安に振れることになりますし、日本の金利が上昇すると円高に振れることになります。もちろん、相対的なものですので、米国金利が上昇したとしても、それ以上に日本の金利が上昇すると、円高に振れることになります。
またヘッジファンドなどの投機筋が金利の安い日本円で資金を調達し、金利の高い外国通貨で運用すると言われています。
ですので、安かった日本の金利が上昇するとそのヘッジファンドたちは資金コストが上昇するため投機をやめ為替取引の手仕舞い(つまり調達した日本円を返済するために外国通貨を日本円に変えること)が一気に行われる可能性があるため注意が必要です。
影響は先読みされるし、簡単ではない。
ここで注意したいのが、上のような金利上昇によって発生される影響が先読みされるということです。
例えば為替の場合は、「米国金利の上昇が予想される→米国ドル高」が発生することです。金利が上昇が予想される段階で為替相場には織り込まれてしまうのです。ですので、予想よりも米国金利が上昇しなかった場合は、逆に米国ドル安になる可能性もあります。
また、金利の上昇そのものは株式相場には悪影響ですが、一方で中央銀行が金利引き締め政策を行えるのは景気が過熱している、つまり株式市場が上昇しているからとも言えます。ですので、「金利上昇=株式市場が下落」ではなく「金利上昇=株式市場の下落要因」と考える程度が適切でしょう。
他にもFXなどのレバレッジを効かせている金融商品などはコスト増から大きくパフォーマンスが低下する可能性もあります(売り買いによって異なる)し、いろいろな影響がでてくるとおもっていたほうが無難です。
長い期間にわたって続いてきた世界的金利低下が上昇の局面に入る可能性が高いことをしっかり認識して備えましょう。
(特に、ミスターマーケットは金利低下が続いてきたということは債券価格が上昇し続けていたこと、そして金利が上昇するということは債券価格が下落するということを再確認しなければと思いました)
大切なのは自分が保有や検討している金融商品に金利上昇によってどのような影響が発生するかを考えることです。
わからない、しらない場合は調べましょう。まずは、想定外を想定内にする。そこから始めてみましょう。
ミスターマーケットの本日のノイズでした。
どうも、日米株投資家のミスターマーケットです。
今回は「金利上昇」が投資に与える影響についてまとめてみたいと思います。